JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第269号 3月号 2026年3月31日発行 ―目 次―  トピックス 〜第30回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. ひろがれ、人馬のウェルビーイング in 東南アジア 法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授 佐野 竜平 2. デジタル デバイド“Digital Divide”って知ってますか?(@ 黎明期) ーそれは「Windows革命」から始まったー 日本障害者協議会(JD) 政策委員 磯野 博 インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1.第31回「リハ協カフェ」 2026年4月3日(金) トピックス 〜第30回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. ひろがれ、人馬のウェルビーイング in 東南アジア 法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授 佐野 竜平 ※去る2026年1月30日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第30回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。 法政大学人馬のウェルビーイング研究所では現在、東南アジアの関係者と協力しながら、障害者と馬介在活動を広げる研究を進めています。国際協力プロジェクトは2026年で2年目に入り、各国での実践・研究活動も少しずつ形になってきました。 特徴の一つが、「三角連携」という考え方です。新たな社会との関わり方を模索している馬関連団体、活動の幅を広げたい障害者団体、そして若者の参画を促しつつ学生に実践の場を提供したい大学の三者が関わることで、単なる支援にとどまらない関係性を築こうとしています。 また、障害のある人が馬のケアに主体的に関わることで、セラピー的な側面と仕事としての側面の両立を目指しています。福祉制度が十分とは言えない地域であっても、無理のない形で社会参加につながる可能性があるのではないか、というのが現地で実践を進める中での実感です。 簡易で恐縮ですが、本プロジェクトの一部を以下のとおり紹介します。   マレーシア 現地における実践拠点です。マレーシア障害者乗馬協会では、週に3回、障害のある方を対象としたプログラムが継続的に実施されています。法政大学人馬のウェルビーイング研究所からJICA海外協力隊を派遣しており、現場での実践と大学での研究の両面から学びを重ねています。   インドネシア プラボウォ大統領が馬を好んでいることもあり、馬に関わる活動が広がりつつあります。首都ジャカルタでは、インドネシア自閉症財団やインドネシア国立大学と協力し、支援者向けの研修を行いました。一方、馬が街中を駆け巡るジョグジャカルタでは、馬の世話を障害者の仕事につなげる試みや、大学の授業への導入など、地域の実情に即した実践をしようという動きが見られます。   ベトナム 近年の急速な経済発展を背景に、障害者と馬介在活動への関心が高まっています。ハノイで実施した国際研修では、予想以上に前向きな反応がありました。また、北部のタイグエン省にある国立畜産研究センターでは、循環型経済の枠組みの中に障害者の就労を組み込む試みが始まっています。 「障害者が馬の世話をするで、結果的に人馬双方のケアにもつながる」という実践を、現地関係者と模索しているところです。       2. デジタル デバイド“Digital Divide”って知ってますか?(@ 黎明期) ーそれは「Windows革命」から始まったー 日本障害者協議会(JD) 政策委員 磯野 博   1 はじめに JANNETとは、本会顧問の松井亮輔先生とJICAの仕事にて2008年に訪中し、中日障害者NGOフォーラムにご一緒させて頂いた折にご紹介頂いてから、かれこれ20年程のお付き合いになります。 今回、このようなテーマにてエッセイを書かせて頂くことになった契機は、遅ればせながらJANNETに今年度の賛助会費を振り込んだ時のことです。重度の弱視(視覚障害1級)の私には、郵便局窓口での振り込みが難しく、障害対応のためのみずほテレホンバンキングから振り込んだのですが、そこで思わぬエラー!それはちょっとした“excuse”だったのですが、そこは国際的活動に携わる障害者NGO JANNETのこと、「この話題をメールマガジンにて取り上げよう!」ということになった次第です。   2 デジタル デバイド“Digital Divide”とは? 私のような戦後の高度経済成長期に産まれた老人とは異なり、令和の若者はデジタル デバイドという言葉さえ耳にしたことがない方が多いかと思います。ガラケーと同じ今や死語なのかもしれませんね?そのため、少し歴史を遡ってお話ししたいと思います。 例えばWikipediaでは、「情報格差」の項にデジタル デバイドに関して以下のような記述があります。 この言葉が公式に初めて使用されたのは、1996年、当時のアメリカ副大統領 アル・ゴアの演説だったようです。そして、その要因として以下の3点が挙げられています。  @.国家間(先進国 VS 途上国)と地域間(都市部 VS 地方)によって生じる格差  A.学歴や所得などによって生じる格差  B.加齢や障害の有無などによって生じる格差 これらの要因によって生じる情報格差が社会的格差を拡大・固定化し、「貧困の連鎖」を生み出すことを危惧したのがデジタル デバイドだったといえます。しかし、当時、想定されたのは主に@でした。つまり、アメリカや日本などの先進国ではICTの進歩を享受できても、台湾やインドのような途上国ではその恩恵に預かれない問題を指摘したものだったのです。 今や台湾やインドはICT大国、@にて危惧された問題は解消されつつあるといえますが、AとBはどうでしょうか?あれから30年、私たち障害者は未だにデジタル デバイドの当事者として格差に苦しんでいます、途上国の障害者は尚のこと、経済成長による格差と障害による格差という交差差別を受けていることは障害者権利条約でも厳しく指摘されていることは皆さんご存じの通りです。 この時期、1995年、世界を一掃したのが「Windows革命」だったのです!   3 「Windows革命」とは? 「Windows革命」これこそ令和の若者にとっては死語でしょうね? これは、1995年、MicrosoftからWindows 95が発売されたことに端を発するICT時代の大転換“Great Transformation”でした。日本では同年11月23日午前0時に発売されましたが、何か分からないままに行列に並び、ディスプレイやキーボードが必要なことも知らず、OS本体のみを購入した方々をマスコミがエピソードとして報道していたことをよく覚えています。 今となっては笑い話ですが、当時、コンピューターといえばオフィスに1台しかない高級品、しかもハード・ソフト一体型であり、文書作成や資料整理、また、情報通信システムを活用するためには、そのソフトが内蔵されたオフィスコンピュータ本体を購入するのが当たり前だったのです。それを改革したのがWindows 95です。 このWindows 95には数々のアプリケーションがインストールでき、そのアプリケーションのひとつとして音声対応ワープロ、インターネット支援ソフトなどを使うことができるようになったのです。   (以下、次号)        ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 193 (2026年3月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.第31回「リハ協カフェ」 2026年4月3日(金) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、国際協力分野において障害分野の課題に取り組んでいくため、情報発信を継続し、関係者への情報提供を行うべく、2020年8月よりリモートによる報告会「リハ協カフェ」を隔月で開催してまいりました。今回は第31回目の開催です。 第31回は、田丸 敬一朗氏(特定非営利活動法人難民を助ける会(AAR Japan)支援事業部 プログラムコーディネーター)より「NGOスタディプログラム アメリカ・ブラジル調査報告-交差性に関する現状と取り組みについて」について、また萩原 昌子氏(九州大学大学院 博士後期課程)より「聴覚障害者による音楽の伝え方と楽しみ方―カナダ・イギリスの視察を踏まえた報告」についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。   ◆日時:2026年4月3日(金)13:30〜15:15 ◆会場:リモート開催(Zoom) ※要約筆記が入ります。 ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆参加費:無料 ◆定員:100名   プログラム(敬称略)*プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 13:30-13:35 開会挨拶 吉田 正則(日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1 「NGOスタディプログラム アメリカ・ブラジル調査報告―交差性に関する現状と取り組みについて」 発表者:田丸 敬一朗 氏(AAR Japan支援事業部 プログラムコーディネーター) 14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2 「聴覚障害者による音楽の伝え方と楽しみ方―カナダ・イギリスの視察を踏まえた報告」 発表者:萩原 昌子氏(九州大学大学院 博士後期課程) 15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 【発表者プロフィール】 ・田丸 敬一朗 氏 (特定非営利活動法人難民を助ける会(AAR Japan) 支援事業部 プログラムコーディネーター) 福岡県生まれ。 先天性の全盲。 カナダ留学中、障害のある留学生としての自身の経験を通じて、障害のある移民・難民に対する支援に関心を持つようになる。 帰国後は、障害当事者団体に約9年間勤務し、当事者の視点を生かした活動に携わってきた。 2022年より当会に勤務。ラオス事業、国際理解教育、国内避難民支援業務等を担当している。 趣味は、読書、野球観戦、落語鑑賞など。       ・萩原 昌子 氏(九州大学大学院 博士後期課程) 生まれつきの高度感音性難聴、右耳は全聾・左耳110db補聴器使用。 NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークのメンバーとしての「みんなで舞台を楽しもう」という活動を経て、音楽の鑑賞環境の現状に違和感を感じ、研究の道へ進む。九州大学大学院芸術工学府博士課程後期在学中。 ろう者、聴覚障害者の“おんがく”や音楽の鑑賞環境等について研究。 Sasa-Marie名でパフォーマーとしても活動しており、手話による詩の朗読をおこなうサイン・ポエット、手話をベースにした音楽表現を行うMUSICA アーティストとして公演・ワークショップ等を実施。 令和6年文化庁新進芸術家派遣制度により2ヶ月間カナダ・イギリスの現状をリサーチ。 デフリンピック2025東京アーティスティック・プログラム演出助手・制作・出演。東京芸術劇場TRAIN TRAIN TRAIN サイン・ミュージック、ドラマトゥルク。   【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe31/ 申込受付:2026年4月2日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、3月26日(木)までにお申し込みください。 定員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、テキストデータなど必要があれば申し込み時にお知らせください。参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。   【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523  Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 今号のトピックスは、人馬のウェルビーイングと、デジタルデバイドという対照的なテーマとなりました。 情報通信の進歩は目覚ましく、90年代まで遡って考えれば、今は障害のある人もさまざまな恩恵をそこから受けていると実感します。ただ、新たな技術ができれば、さらに新たな格差も生まれますので、すべての人が使え、暮らしを豊かにできる技術となるよう、障害分野からの発信は欠かせません。 一方で、どんなに技術が進んでも、人による直接の支援や、人や生き物との温かみのある交流は不可欠です。その大切さは、特にコロナ禍を経た今、90年代と比べても、むしろ増しているのではないかと感じます。 日ごろの活動の中でも、例えば会議をオンラインにするか、対面にするか、といった議論は常に行われます。新しい技術へのアクセスと、人による取り組みや支援は、双方を確保し、両立させることが必要だと感じています。 (原田 潔/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上