JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第266号 12月号 2025年12月26日発行 ―目 次―  トピックス 〜第29回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. オークランド研究視察報告 目白大学大学院リハビリテーション学研究科長/目白大学保健医療学部作業療法学科教授 會田 玉美 インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1.JDF地域フォーラムin石川 能登半島地震から2年−障害のある人の暮らしと復興への取り組み  2026年1月16日(金) 2.第30回「リハ協カフェ」 2026年1月30日(金) トピックス 〜第29回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. オークランド研究視察報告 目白大学大学院リハビリテーション学研究科長/目白大学保健医療学部作業療法学科教授 會田 玉美 ※去る2025年11月28日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第29回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。   私たち目白大学保健医療学部作業療法学科のグループは2017年より地域リハビリテーションと高齢者福祉をテーマに海外研究視察を続けています。2025年9月、ニュージーランド(NZ)オークランドを訪れました。   NZは多民族国家で、2024年の調査では65歳以上の割合は17.2%と日本の約29%に比べて低いです。社会保障はすべて税金で賄われ、医療・介護・年金がシンプルに統合されています。高齢者は65歳以上で居住要件を満たせば一律年金を受給でき、さらに任意の退職貯蓄制度「キーウィ・セーバー」が普及し、老後の生活設計を支えています。イギリスと同じGP(General practitioner)制度が導入されており、医療は基本的には無料ですが、病院を自分で選べないことや、待ち時間の長さが課題としてあげられています。 介護サービスはNASC(Needs Assessment Service Co-ordination Association)による査定後、在宅介護・レストホーム・リタイアメントビレッジなどから選択可能です。特にリタイアメントビレッジは、日本の「住み慣れた地域で支援を受ける」考え方とは異なり、老後のライフスタイルを自らが選ぶ仕組みです。広大な敷地に自立型住宅から認知症ケアまで併設され、カフェやサロンも整備されており、生活の自由度と快適さが特徴です。これは高齢者の住み替えを促し、若年層の住宅供給にもつながる点で、空き家問題への示唆にもなります。認知症ケア施設ではパーソンファーストの理念が徹底され、個室環境や植物、芸術作品による安心感の提供が印象的でした。介護職は外国人労働者が多く、厚遇により専門性と余裕を持って支援していました。 今回の視察で、日本の老後は「介護サービスを選ぶ」発想、NZは「老後のライフスタイルを選ぶ」発想という大きな違いを実感しました。また、ダイバーシティ先進国NZは明日の日本の地域社会の在り方を考える機会になりました。今後も海外の知見を地域に活かし、だれもがより豊かな生活を送ることができる地域社会を考えていきたいと思います。       ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 193 (2025年12月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en    イベント情報 1.JDF地域フォーラムin石川 能登半島地震から2年−障害のある人の暮らしと復興への取り組み 2026年1月16日(金) JDFでは、石川県七尾市に能登半島地震支援センターを置き、全国の支援スタッフの参加を得ながら、能登の障害のある方々の移動などの支援や、人手不足が続く障害者支援事業所等の支援を続けています。 今回のフォーラムは、復興への歩みを続ける和倉温泉を開催地とし、石川県内の障害者団体等との共催により、能登の障害のある方々の声をお届けしながら、今後の暮らしと復興に向けた取り組み等について話し合います。   ◆日時:2026年1月16日(金)12:30〜15:00 ◆会場:「日本の宿 のと楽」(石川県七尾市- JR和倉温泉駅から車で5分。送迎バスあり) 〔Zoomによる同時配信あり〕 ◆情報保障:手話通訳、要約筆記、テキストデータあり。 ◆参加費:無料 ◆主催:日本障害フォーラム(JDF)、JDF地域フォーラムin石川実行委員会       【プログラム(案)】 開会挨拶   阿部 一彦 日本障害フォーラム代表  田中 弘幸 JDF能登半島地震支援センター長/石川県身体障害者団体連合会会長  来賓挨拶 石川県などより予定 基調報告 障害のある人を取り巻く課題、インクルーシブな復興への展望(仮)  藤井 克徳 日本障害フォーラム副代表 JDF能登半島地震支援センター 活動報告  塩田 千恵子 スタッフマネージャー 障害のある人の支援と復興に向けた取り組み (1)和倉温泉のマッサージ師の仮設住宅等への出張、代筆代読支援員広域派遣事業の創設など  米島 芳文 石川県視覚障害者協会理事長 (2)能登のきこえない・きこえにくい人の暮らしと支援、手話の日ブルーライトアップなど  藤平 淳一 石川県聴覚障害者協会理事、施設長 (3)能登半島のバリアフリー・ツーリズム  桶屋 善一 青山彩光苑ライフサポートセンター利用者 (4)NHK福祉番組での取り組み、今後の予定  NHKハートネットTVより 被災地からの声、指定発言など(オンライン発言を含む)  能登で暮らす当事者、支援者の声、連携する関係団体など 総括・閉会   竹下 義樹 日本障害フォーラム副代表/日本視覚障害者団体連合会長 【お申込み方法】  1.下記ウェブフォームからお申し込みください。 <ウェブフォームはこちら https://forms.gle/rNLaMPyWRmsdqqRu8 > 2.下記申込必要事項に記入のうえ、E-mailにてお申込みください。 <E-mail: jdf_info@dinf.ne.jp > <申込必要事項> 1.お名前(ふりがな) 2.ご所属 3.メールアドレス 4.会場参加・オンラインの希望 5.必要事項 手話通訳・要約筆記・テキストデータ・車いす利用・その他                【お問い合わせ】 《日本障害フォーラム(JDF)事務局》 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601  FAX: 03-5292-7630    Eメール:jdf_info@dinf.ne.jp         2.第30回「リハ協カフェ」 2026年1月30日(金) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、国際協力分野において障害分野の課題に取り組んでいくため、情報発信を継続し、関係者への情報提供を行うべく、2020年8月よりリモートによる報告会「リハ協カフェ」を隔月で開催してまいりました。今回は第30回目の開催です。 第30回は、藤井 剛氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長)より「障害者技能競技大会(アビリンピック)について」、また佐野 竜平氏(法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授)より「東南アジアにおける人馬のウェルビーイング」についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。   ◆日時:2026年1月30日(金)13:30〜15:15 ◆会場:リモート開催(Zoom) ※要約筆記が入ります。 ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆参加費:無料 ◆定員:100名   プログラム(敬称略)*プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 13:30-13:35 開会挨拶  吉田 正則(日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1 「障害者技能競技大会(アビリンピック)について」  発表者:藤井 剛 氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長) 14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2 「東南アジアにおける人馬のウェルビーイング」  発表者:佐野 竜平 氏(法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授)           15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 【発表者プロフィール】 ・藤井 剛 氏 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長)  <経歴> 平成10年4月 旧労働省(現厚生労働省)入省 平成14年8月 ドレスデン工科大学留学(ドイツのデュアルシステムを研究し、職業教育学修士を取得) 平成19年4月 東京労働局 職業安定課長(リーマンショック時の就労支援に係る現場指揮官を担当) 平成22年4月 在チェコ日本大使館 一等書記官(医療保険制度等に係る政府間交渉を担当) 平成29年4月 職業安定局 首席職業指導官室 室長補佐(がん患者等の就労支援に係る企画立案を担当) 平成30年4月 茨城労働局 職業安定部長(医療・福祉人材等の確保対策を担当) 令和元年4月 大臣官房 地方課 課長補佐(コロナの感染拡大に伴う帰国者支援を担当) 令和3年4月 兵庫労働局職業安定部長(コロナの影響を受けた企業と県民の雇用支援を担当) 令和5年4月 人材開発統括官 技能実習業務指導室長(技能実習制度の運用と見直しを担当) 令和6年7月 職業安定局 主任障害者雇用専門官(障害者に係る雇用率達成指導を担当) 令和7年4月 現職 ・佐野 竜平 氏 (法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授) アジアを中心に障害分野の国際協力に従事、 その後、現職。 学生時代、北海道で初めて馬に関わる。大学の 体育会馬術部関係者と一緒に、創部100周年を機に「人馬のウェルビーイング研究所」を設立。 障害のある人と馬が関わる活動の接点を追い求めて、アジア各地を探索中。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe30/ 申込受付:2026年1月29日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、1月22日(木)までにお申し込みください。 定員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、テキストデータなど必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。   【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp   編集後記 今年、全日本ろうあ連盟として、またこれまで経験したことのない最大のイベントと言えば“東京2025デフリンピック”開催でした。 このデフリンピックは、初尽くしだらけでした。まず日本で初開催。そしてデフリンピック開催年から節目となる、100周年。開会式に於いて手話言語による日本国歌の披露。またオリンピック・パラリンピックにはない、約240名の手話言語通訳者及び国際手話による協働通訳者の配置。そして、デフリンピックスクエアにはデフスポーツハウスを設け、デフリンピックの歴史など展示した内容は大変、好評を頂きました。また、ろう者による手話言語で動画解説もすべての競技につけ、YouTubeによる国際発信を行いました。 観客動員目標人数が10万人。蓋を開けてみれば、約33万人の動員がありました。競技会場は通路もいっぱいになるほど満席、会場前には長列、想定外の関心の高さに嬉しい悲鳴でした。メディアも約70社集まり、ボランティアも3000名を想定が、約19000人もの応募がありました。79ヵ国から約3000名の選手が集まり、観客を魅惑させる素晴らしいハイレベルな競技、中にはオリンピック金メダル同等の成績を残す記録もありました。 デフリンピック開催から、社会に於いて医学モデルから社会モデル、そして人権モデルへ一層、真の共生社会に向かっていくことを期待したいと思います。応援、ありがとうございました。   (嶋本 恭規/JANNET広報・啓発委員長) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上